神社と祭り 社会や個人にとって神社とは何なのか考える

人が住むところには必ずあった鎮守の森 神社

私の子供時代の遊び場は神社でした。

神主は在中しておらず、境内には巨大な楠があり、境内に公民館とゲートボール場があり、滑り台やブランコやシーソーといった遊具が置かれていました。

全国に神社は約8万8千社以上あるといわれ、そのうち神主が在中するのは2万社程度といわれていますが、全国で神主が約2万人。そのうち宮司(神社のトップ)は約1万人ですので当然誰も在中しない神社が圧倒的に多いのです。

神社は法律上では宗教法人であり、公益法人です。

公益法人とは本来国がやるべき事業を代行している法人です。

特に神社は誰でも自由にお参りすることのできる極めて公共性の高い場所です。人々は神社にお参りをして、神様に個人の幸せを祈ることで心の平安を得ます。すなわち社会の安寧に貢献しているとみなされているのです。

また神社は人々の寄り集う地域コミュニティーにとって重要な場所でもあります。祭礼で地域住民が集まって協力するだけではなく、私の氏神様の神社もそうだったように、全国の神社の境内には公民館が建っていたり、遊具があり、広場があり、公園のような役割も果たす公共的な場所なのです。

しかし、法的な扱いとしては一宗教団体となります。

みなさんのお住まいの近くにも必ず神社があると思います。

お正月に初詣でお参りすることもあるかと思います。または大きな神社に行かれる人も多いかもしれません。

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初詣の様子(鶴岡八幡宮)

めったにお参りしない人も、お宮参りや七五三、車を購入すればお祓いに。厄年になれば厄払いに行くこともあるかと思います。

また、旅行の観光で神社に訪れ、お土産にお守りを受けたりおみくじを引いたりすることも多いかと思います。

しかし、そもそも神社は何のためにあるのか?

神主は毎日何をやっているのか?

知らない人も多いかと思います。

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神社は何のためにあるのか
神主は毎日何をしているのか

一般的なイメージとして神主は白衣袴姿で境内を掃除しているのを思い浮かべるかもしれません。しかし掃除の前に必ずやることがあります。

神主の一日は日供祭というお祭りで始まります。

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はじめにお祓いをしてから神前に米・酒・塩・水などの神饌(神様のお食事)をお供えし、祝詞を奏上します。

祝詞の中では天皇陛下の治めるこの世がいつまでも安泰に続いくように、神社の氏子(神社の鎮座する神様がお守りする一定の土地に住む人々)、また崇敬をよせる人々をはじめ、日本の国民、世界の人々に至るまで健康で心豊かにそれぞれの受け持つ仕事に励んで、家族となかよく幸せに暮らしていけますようにと祈りを捧げます。

神職が在中する神社では毎朝このようなお祭りがひっそりと行われています。ちなみに神社の頂点である伊勢の神宮では「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」というお祭りが1500年間雨の日も風の日も1日も絶えることなく続いています。

このお祭りは外で行われる庭上祭祀なので、猛烈な台風の日はお供えした瞬間全て吹き飛ばされたと聞きました。

神社によりますが毎日の日供祭の他に、年間を通して何十、何百という恒例祭典が厳粛に執り行われています。そのお祭り全てが地域共同体を始めとした共同体のため、地域のため、国のための「公」のための祈りが捧げられています。

 

祭りとは何か

ではそもそもお祭りとは何なのか。

はっぴ姿の人達がお神輿を担いだり、境内の出店で飲食したり遊興したりすることと思う人もいるかもしれません。

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しかし、これはお祭りの中の一部、それも取り巻く部分であり、祭りの本義を一言にすれば、それは「神様にお供え物を捧げて祈ること」です。

「祭」という字は切った肉を右手で台の上に備える象形から、また「祀」はお供えの台に拝礼する人を象形から出来た字です。お祭りのことを「祭祀」ともいいます。

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出典 漢字辞典ーOK辞典 より

 

お祭りでは具体的にどのようなことが行われているかを神社の月ごとのお祭りである「月次祭」の次第から見てみましょう。

 

月次祭式次第

 

・修祓(しゅばつ) お祓いの詞を奏上し大麻と呼ばれるものでお祓いします

・宮司一拝 祭典の始まりとして神様に神主、参列者共に神様に深くお辞儀をします

・献饌。神饌(しんせん)というお供えものを神様にお進めします

・祝詞奏上(のりとそうじょう)神様の日々のお守りとお恵みに対し感謝を申し上げ、皇室の安泰と、世の中の人々が平穏無事に幸せに過ごせるよう、また社会の更なる発展を祈ります。

・舞または神楽の奉奏 舞や神楽を捧げ神様の御霊を和めます

・玉串奉奠(たまぐしほうてん)。玉串という榊の枝を捧げ、神様の御霊がいつまでも元気で、お力を発揮いただけるように崇敬の念を込めて拝礼します

・撤饌(てっせん)神主が神前に進み、神饌を下げます。

・宮司一拝 祭典の結びとして神様に神主、参列者共に神様に深くお辞儀をします

 

このようにしてお祭りが行われます。

時間があればこの上の映像を参考になさってください。

神様は目に見えないし、声も聞こえませんが、御社殿の奥の内陣というお部屋にいらっしゃってご覧になっていると想定して執り行われます。

まずお祭りの始まりの前に修祓(しゅばつ)といってお祓いをします。

神道は清浄を最も重要視します。罪や穢れが病や争い災害といった様々な厄難の原因になると考えられているからです。

お祭りの前には必ず御社殿の清掃を前日までに済ませてお祭り当日、神主は潔斎といって水を全身に被って身を清め、装束の着装の後に手水を行い手と口を清めます。

そして事前に神饌や玉串といったお供え物を祓い、祭典前に斎主、祭員、参列者を祓います。お祓いをする神主は自分自身を祓っておきます。

このようにして徹底的に祓って神様に罪穢れを寄せ付けないようにできる限りの対策が取られます。

そして祭典の始まりには神主、参列者共に神様に深くお辞儀をします。これからお祭りを始めますという神様へのご挨拶です。

次に海山川の幸である神饌をお供えします。今でこそいろんなものがスーパーで買うことが出来ますが、昔はお供え物を集めるのが大変だったと思います。お米、お酒、海魚、乾物、野菜、果物、塩、水といったものがお供えされます。できる限りのご馳走を用意して召し上がっていただきます。

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神様へのお供え物 神饌

その間、雅楽や神楽といった音楽が奏楽されます。

次に祝詞を奏上します。内容は「心に思うことも恐れ多い神様に申し上げます。神様のとてもすごいお力によって日々御守り、お恵みいただき幸せに暮らして有難く思い、神様をお慕いして今日みんなで集まって、沢山のお供えものを、感謝を込めてお捧げして拝みますので、どうか変わらぬ御守護と御恵みをお願いします」といった内容です。

祝詞は神様によく伝わるように、ヤマトコトバという古い言葉によって唱えられますので何といっているのか難しくて分からないかもしれませんが、大体このような内容です。

次に神様に舞や神楽といった芸能が奉奏されます。美しい舞により心が和み、賑やかな神楽で文字通り神様を楽しませます。

次に玉串という榊の枝に紙垂をつけた物を神様にお捧げして二拝二拍手一拝でお参りします。

榊という木は常緑樹といって、一年中緑色の葉っぱが散ることはありません。この生命力に古代の人々は特別な力が宿ると考えて、神様にもいつまでも元気にお力を発揮していただけるよう、捧げ物とされてきました。

玉串を捧げた後すぐに拝礼をします。

お辞儀を深く二回。普通人に対してお辞儀は一回で十分だし、二回やるのは変ですが、これは神様への崇敬の表われに思われます。

拍手は古代、貴人に対する行為でした。これも二回行って最後にもう一度お辞儀をします。

神様を崇敬する気持ちを形に表わした礼法がこの二拝二拍手一拝という作法だと思われます。

 

まとめ

祭りとは要するに、神様への最大限のおもてなしです。

神様を人に置き換えるなら、皆その人の子孫という意味で一族の長でしょうか。

みんなの元の親です。その長老を祝って親戚みんなで気持ちいいお風呂に入り、キレイになって、美味しい食事を音楽の演奏と共に楽しみ、余興として歌や踊りを披露して、最後に花束を渡して挨拶するといった、まるで温泉旅館での祝宴みたいなことではないでしょうか。

お祭りとは厳粛に執り行われながらも、「心」や「信仰世界」を儀礼として表現し、それによって「公的な祈り」を捧げる文化的営みでもあり、親から子へ、子から孫へと代々受け継がれていく「祈り」なのです。

 

この記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

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