ザックリ解説『古事記・日本書紀』① 宇宙のはじまりから日本の国作りへ

今こそ神話を紐解く時

日本各地に様々な神話がありますが、古事記・日本書紀がその代表格で、現代の日本人と日本国家とは何かを考える上で重要な神話であると思います。

かつて、「神話を忘れた民族は100年以内に滅びる」とイギリスの歴史学者アーノルド・J・トインビーはいいました。

戦後70年以上が経ちましたが、それ以前は学校で日本神話が教えられていました。明治以前は各地域の言い伝えといった口承伝承による神話が存在していました。

現代の日本の子供達が神話に親しむ機会はとても少ないと言わざるを得ません。私自身、子供の時に読んでもらった絵本に神話に関するものは一っつもありませんでした。

大きく価値観が揺らいでいるこの時代にこそ、我々はどこからどのようにしてやって来て、どのようにして生きてきたのかを知ることは重要かと思います。

 

宇宙の始まり

古事記は「天地初めて開けし時、高天原に成れる神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシ)。次に高御産巣日神(タカミムスビ)。次に神産巣日神(カミムスビ)・・・」という文で始まります。

宇宙の始まりです。

昔、葉室頼明昭という宮司さんが『<神道>のこころ』という本で古事記のこの始まりの部分について説明されていました。


〈神道〉のこころ 〈新装版〉 (神道コレクション・日本人の美しい暮らし方)

葉室さんによれば、はじめに「人間をつくろう」という心があり、ビッグバンによって宇宙が出来たそうです。

はじめに出てくる神様はみな「一人神」といって単立の存在です。これは生物の両生類の時代を物語っているということでした。

さらに

人間がこの世に誕生した目的は、宇宙が自分で自分を見ることができないから、自分の本当の姿を見てもらえるものをつくろうというので、人間を生まれさせたと私は確信しているのですが、まだ人間で宇宙の本当の姿を見た人はいない。(P.168より)

 

といっておられます。

そうやって生まれた人間も一人で生きていくのは寂しい。伴侶を求め、子孫を残します。

生まれてきてくれた我が子との出会いは言葉には表しがたい喜びとなります。親にとっての子の存在、子にとっての親の存在。これは神と人との関係であり、親しみ合う関係です

我々の親の親を辿っていくと宇宙そして神の心に行きつきます。なるほど神道は自然信仰、祖先信仰と云われるわけです。

 

ムスビのチカラ

高御産巣日神神産巣日神(タカミムスビノカミ カミムスビノカミ)という神様が登場しましたが、日本では古来、産巣日(ムスビ)という不思議な霊力、神秘的な働きによって生命が栄えるという考えがあります。原子核でいえば中性子と中性子を結びつける中間子のような働きです。

中間子は日本人の湯川秀樹博士によって発見されました

 

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湯川秀樹(1907−81)   nobelprize.orgより

湯川 秀樹は、日本の理論物理学者。 原子核内部において、陽子や中性子を互いに結合させる強い相互作用の媒介となる中間子の存在を1935年に理論的に予言した。

湯川秀樹−Wikipedia

 

湯川博士はこの研究でノーベル物理学賞を日本人で初めて受賞され、この受賞は敗戦間もないこの頃の日本人にとって大きなチカラとなったといいます。

この中間子があるおかげで物質が存在するのです。

天之御中主神も一人では素粒子、中性子、陽子といった「波」として存在するだけでしたが、この二柱の神様のムスビの力によってこの世に物質が誕生したのです。一人親といえどもまさに子はかすがい。子がいてこそ初めて親として存在し得ます。

古事記は科学を説いているとすれば、それは不思議なことですが、しかし昔の人が知り得なかったとも思えません。

古代人の感性といいますか凄まじい直観力といいますか、現代人には想像すらできない感覚で描かれた世界観が神話です。

それはさておき、次に現れる神様は宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコジノカミ)です。

ウマシとは立派なという意味で、つまり立派な葦の芽を神格化して、植物の生長力を表しています

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次に天之常立神(アメノトコタチノカミ)は文字通り空、高天原を支え、以上の五柱の神様は天津神の中の特別な天津神とされます。

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次に国之常立神(クニノトコタチノカミ)は国土を、次に豊雲野神(トヨクモノカミ)は雨や雲海、水の恵みを表しているとされます。

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ここまでは「一人神」です。

次に宇比地邇神(ウヒヂ二ノカミ)、次に妹須比智邇神(イモスヒコヂノカミ)が生れ、ここから夫婦の神様が続きます。生物が性別に分かれて生殖を開始したのは約十億年前といわれています。

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イザナギとイザナミの登場

それから四代目に登場したのが日本の生みの親である伊邪那岐神(イザナギノカミ)、伊邪那美神(イザナミノカミ)です。

 

 

国之常立神から伊邪那岐神、伊邪那美神までを神代七代といいます。

天つ神は伊邪那岐神、伊邪那美神に「この漂える国を修め理り固め成せ」と命じて天沼矛(アメノヌボコ)を授け、両神は天浮橋(アメノウキハシ)に立って海水を矛でコロコロとかき混ぜ、引き上げるとその滴り落ちる雫が積り重なってオノゴロシマという島が出来ました。

そこに立派な柱を立て、広い家を建て二柱の神様はここで国生みを開始します。いろいろありましたが、どうやって子が出来たかはここでは省略しまして、淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐、対馬、佐渡、本州とう島々が次々と生まれ、海の神、山の神、交通の神、食べ物の神を生みますが、最後に火の神である火乃迦具土神(ヒノカグツチノカミ)を生んだことによりなんと伊邪那美神が大やけどを負って亡くなってしまいます

怒った伊邪那岐神 は火乃迦具土神の首を剣ではねて殺してしましますが、そこから多くの神様が生れます。甕速日神(ミカハヤヒノカミ)といった土器の神様や、建御雷之男神(タケミカズチノヲノカミ)という強力な武神もこの時に生まれます。

これは、火によって土器が作れるようになり、さらに剣などの鉄器、強力な軍事力が生れたことを表しているといいます。

伊邪那岐神は悲しみに暮れ、妻の亡骸を埋葬しますが、伊邪那岐神は妻である伊邪那美神にどうしても会いたくなり、黄泉国(よもつくに)を訪ねます。

すると伊邪那美神は黄泉国の神に相談すると言い、決して自分の姿を見てはいけないと言いますが、そんな約束を守れる筈もなく、伊邪那岐神はこっそり覗いてしまいます。

すると、妻の身体には蛆がわき、八柱の雷神がとりついていました!

驚いた伊邪那岐神は必死に逃走しますが、「恥をかかせたな」といって伊邪那美神が追手として黄泉醜女(ヨモツシコメ)を差し向けます。ヤマンバみないなものでしょうか。

さらに八柱の雷神と1500の軍勢が追いかけてきます。

伊邪那岐神は桃を三つもぎ取って追手に投げつけると追手は何故か退散します。桃には不思議な力があるようです。

最後はついに妻が追ってきます。伊邪那岐神は黄泉比良坂に巨大な岩を置いて妻に離別を言い渡すと、妻が「あなたの国の人を一日に千人殺してやるわ」と言いました。

すると夫は「一日に千五百の産屋を建てる」と返します。

これによって日本の国民は人口が減って滅びることはなくなりました。

しかし今はどうでしょう。産屋の数が間に合わなくなってきてしまってます。

これは神代から始まって初めての事態ですので、真剣に考え対処していかねばなりませんね。

それはさておき、この巨大な岩でふさいだ黄泉比良坂とは古墳の横穴式石室をイメージして伝えているといいます。

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画像 mozu-furuichi.jp より

さて、黄泉国から逃げ帰った伊邪那岐神はすっかり穢れてしまったと九州は筑紫国の阿波原で禊を行います。着衣を脱ぎすてるとそこから多くの神様が生れます。

最後に、川に入り左の眼を洗ったところ天照大御神(アマテラスオオミカミ)が、右目を洗うと月読命(ツクヨミノミコト)が、鼻を洗うと建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)が生れ、伊邪那岐神はこれを大いに喜び「私は多くの神々を生んできたが、最後に三柱の貴い子を得ることが出来た」といい、天照大御神は高天原を、月読命は夜の国を、建速須佐之男命は海原を治めよと命じました。

 

この三柱の神様を「三貴神」と呼び、特別な神様とされています。

 

 

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