ザックリ解説『古事記・日本書紀』② 天岩戸開きは祭祀によって永久に再現されるだろう

 ▲画像 岩戸神楽ノ起顕 三代豊国

 

前回「宇宙のはじまりから日本の国作りへ」の続き

伊邪那岐神(イザナギノカミ)の禊によって最後に生まれたのが、天照大御神(アマテラスオオミカミ)、月読命(ツクヨミノミコト)、速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)という最も貴い「三貴神(さんきしん)」でした。

 

最も貴い神 三貴神

天照大御神は皇室の祖先神で、伊勢神宮の神様であり、神棚をお祀りしているご家庭では必ず一年に一度は受けることになる「神宮大麻」というお札もこの神様です。

いわば日本の総氏神様的存在です。

正宮

伊勢神宮

 

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神宮大麻

 

月読命という神様はこれ(誕生)以後古事記において一切登場しない神様です。

天照大御神が太陽神であるのに対して、月読命は文字通り月の神様であり、光と影の対(つい)の関係性です。

このコントラストをはっきりさせるかのように一切活躍は報じられません。なんだか寂しいですが、恐らく誰も知らない見えない所からきっと御蔭(おかげ)を戴いているはずです。

月を読むということで、暦の神様ではないかともいわれています。

速須佐之男命は日本神話において大活躍する神様ですが、問題児でもあります。

父より「海原を統治せよ」と命ぜられたにも関わらず、その任務に取り掛かることも無く、ヒゲが胸のあたりに伸びる大人になるまでずっと泣き通していました。そのために草木は枯れ、川や海は乾いて様々な災いが起こってしまいました。

「海原を統治せよ」とはどういうことなのかといいますと、恐らく地球全体なのではないかと思います。

地球の約7割は海ですので、地上世界のことでしょう。

父 伊邪那岐神が、「どうしていうこと聞かないで泣いてばかりいるんだ」と問うと、速須佐之男命は、「母 伊邪那美神に会いに行きたいと思って泣いている」と答えたところ、父は激怒して「それならばこの国から出て行け」速須佐之男命は追い出されてしまいます。

そして「もうわしゃ知らん」といった感じで伊邪那岐神はそのまま隠居してしまいます。それが滋賀県に鎮座する多賀大社です。(日本書紀では淡路島の伊奘諾神宮となっています)

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多賀大社

 

ところで、海原を統治するはずの速須佐之男命はなぜ泣いていたのでしょうか。

実は、海洋民族の故郷を思って恋しがって泣いていたとも考えられています。かつて、東南アジアから南の海の島々を渡り、海原の民がやってきて縄文人の祖先の一つとなりました。

草木が枯れ、川や海は乾いたということは、海原の民が初めに住み着いた九州の南部にて起こった鬼界カルデラ大噴火のことではなかったかと思われてなりません。

 

スサノオ 高天原へ向かう

地上の世界から追放された速須佐之男命は事情を聞いてもらうために天上世界である高天原の天照大御神に会いに行きますが、自分の国を侵略しにきたと勘違した天照大御神は男装し、玉飾りで威厳をつけ、弓矢で武装して「何をしに来た」と速須佐之男命に言いました。

すると速須佐之男命はいきさつを説明して、暇乞いに訪れただけだと話しますが「ならば証を見せよ」と信じてもらえません。

ならば互いに受誓約(うけい)をし、子を生もう」ということになり、儀式が執り行われます。

両神は川を挟んで、互いの持ち物を出しあいます。天照大御神がはじめに速須佐之男命の十拳剣(とつかのつるぎ)を三つに折り、それを噛み砕いて息とともに吹き出し宗像三女神を生みます。

次に速須佐之男命が天照大御神の八尺の勾玉(やさかのまがたま)を噛み砕いて吹き出し五柱の男神を生みました。

福岡県宗像市に鎮座する宗像大社の宗像三女神は沖津宮(おきつぐう)、中津宮(なかつぐう)、 辺津宮(へつぐう)に宗像三女神は祀られていますが、この神話を物語るかのように沖津宮のある沖ノ島には剣の破片がおびただしく出土します。

ここでは剣を砕く神事があったのではないかと考えられています。

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スサノオの暴走

天照大御神は互いの物から生まれた神をそれぞれの子とします。(八尺の勾玉=天照大御神の子 十拳剣=スサノオの子)

速須佐之男命は「自分にやましい心がなかったから心優しい女神が生まれたのだ」と勝利を主張しはじめ、その勢い余って暴走を始めます。

まず、田んぼの畦(あぜ)を破壊し溝を埋めて農耕を妨害し、神聖な儀式を行う御殿にう⚪️こを撒き散らしたりといった乱暴狼藉を働きます。

しかし、弟を疑った罪の意識からか天照大御神は弟を責めずにむしろ庇おうとします。

弟の狼藉はエスカレートしていき、ついには神様へ捧げる織物を織る建物に皮を剥いだ馬を投げ込んで女性一名が死亡してしまうという大事件を起こしてしまい、すっかり滅入ってしまった天照大御神は天岩戸という洞窟に引きこもってしまいます。

太陽神である天照大御神が姿を隠してしまったために、天上と地上の世界が闇に包まれて様々な災いが起こります。

 

天岩戸開き

事態を深刻に捉えた八百万の神々は天安河(あめのやすかわ)の河原に集まって会議をします。思金神(おもいかねのかみ)という神様が作戦を考えてお祭りを執り行うことになりました。

たくさんのニワトリを集めて鳴かせます。「朝ですよ」というおまじないでしょうか。

次に神々に命じて鏡や玉飾りを造らせ、占いにより神意を得て榊の木をごっそりと採って玉や鏡、木綿(ゆう)と麻(あさ)で飾りつけをしそれを布刀玉命(ふとだまのみこと)が捧げ物として取りもち、天児屋命(あめのこやねのみこと)が祝詞を奏上し、力持ちの天手力男神(あめのたじからおのかみ)が天岩戸に脇に隠れて待機します。

お祭りもクライマックスとなり天宇受売命(あめのうずめのみこと)が桶を逆さまにしてその上で激しいダンスを踊りトランス状態になりストリップをはじめたため、集まった神々は大笑いして大いに盛り上がります。

自分が引きこもっていて、世界は闇に包まれているはずなのに外が騒がしいと不審に思った天照大御神は少し戸を開けて様子を尋ねていくつかやりとりをする隙に力持ちの天手力男神が岩戸を開き天照大御神を引き出します。そして二度と中に入れないようにしめ縄を張りました。

これが世にいう「天岩戸伝説」です。この神話の中に、現在の神社と祭祀に関わる重要なエッセンスが盛り込まれています。

朝を知らせるニワトリを飼う神社は多く、神鶏として大切にされます。

 

布刀玉命が捧げ持ったとされるものは真榊(まさかき)といいまして、多くの神社の御殿の中の扉の前の両側に置かれています。

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画像 minzoku.shop-pro.jp より

 

天児屋命の祝詞はそのまんまですね。

天宇受売命のダンスは神々が楽しむ「神楽」であり芸能のはじまりでもあります。でもまさかトランス・ストリップダンスだったとは驚きです。

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画像 アメノウズメ  seiga.nicovideo.jp より

 

天照大御神が岩戸を開いて自分の姿を見た鏡は向きは反対ですが、多くの神社の神殿の扉の前に置かれています。

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画像 鴻神社 社殿 yaokami.jp より

 

天手力男神が岩戸を開きですが、神社の大祭では神殿の御扉を開扉します。

このようにして現在の神社では、この「天岩戸神話」を象徴する祭具が多くあり、この神話を永久的に再現・再演されるかのようにして祭祀が伝承されています。

 

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