世の中と音楽 人間にとって音楽とは何か① 日本の歌謡曲 戦後〜80年代

このブログの重要要素「音楽」

このブログでは「日本とは何か?」をテーマにしながら時折、音楽についての記事を書いたり、ミュージッククリップを挿んで紹介したりしています。

こういったサブカルチャーを研究し、文化に関する分析を試みる学問として、20世紀後半にイギリスで始まったカルチュラル・スタディーズ (Cultural studies)というものがあります。低俗と言われるものこそ資料・研究価値があるのだというスタンスは、日本の民俗学も同じです。

音楽は私たちの生活に大きな影響を与えてきたということは、間違いありませんので、そこから日本や社会について考えていきたいと思います。

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昔は誰もが聴いた曲があった

音楽の趣味とは人それぞれで、今の時代において「誰もが聴く曲」はないように思えます。

もちろん今でも「ヒット曲」は存在します。しかし、アイドルグループのファンやマニア、オタクといった特殊な層の人たちが熱狂して買い求めているだけに過ぎず、 世代や性別、趣味嗜好を超えた「みんなの歌」ではありません。そういった意味での流行はもはや起こり得なくなったような気がします。

流行とは字のとおり、流れ行く訳ですから、方向が一つに定まらなければならない。ということは同じ価値観をもって同一のベクトルを向いていなければ成立しない現象なのかなと思います。

例えば終戦直後。つらい戦争が終わったという喜びの反面、焼け野原が残った暗い世相のなか、りんごに思いを託して明るく爽やかな歌声に人々は励まされました。並木路子さんの「りんごの歌」(昭和20年) (NHKアンケートによる昭和の歌謡曲9位)です。終戦直後といえばこの曲と多くの人が印象を持っているのではないでしょうか。

また、復員兵が帰ってくる港に、幾日も足を運び、戦地の息子を待ち続ける母親の心情を歌った菊池章子さんの「岸壁の母」(昭和29年)(NHKアンケートによる昭和の歌謡曲8位)は、この時期多くの人々の共感を得たのではないでしょうか。ちなみにこの曲は、私が幼い頃に明治生まれの曽祖母に教わって、よく歌っていたそうです。

坂本九さんの「上を向いて歩こう」(昭和36年)(NHKアンケートによる昭和の歌謡曲4位)なんかは世代や国を超えて広く愛されている昭和の名曲として有名です。頑張れば必ず豊かになれる、幸せになれるというひたむきに生きた時代を歌っているように思えます。

日本人は底抜けに明るい歌よりも、どこか哀愁漂うような、憂をおびた歌を好むように思えます。

80年代の到来

そして日本はとても豊かになった1980年代。(私もこの頃生まれました)

アイドル全盛の時代を迎え、松田聖子さん、中森明菜さん、小泉今日子さんといった女性アイドルや、近藤真彦さんや少年隊、光GENJIといったジャニーズ系が登場。チェッカーズといったアイドルグループが人気を集め、おニャン子クラブの人気は今のAKBを凌ぐほどの熱狂を誇っていたといいます。私は80年代前半に生まれたので、この辺のところはうっすらとしか覚えていません。

またアイドルばかりではなく、尾崎豊さんのような個性的なアーティストも登場し、忌野清志郎さんのバンドRCサクセションや、布袋寅泰と氷室京介のBOOWY、THE BLUE HEARTSや、奥田民生さんのユニコーン、小田和正さんのオフコースといったバンドや、テクノミュージックで世界を席巻したYMOもこの時代に活躍しました。

こうして見てみると80年代は実に様々なアーティストなり文化が生まれた時代でした。よく軽薄だとか、「スカ」(アタリ・ハズレでいうハズレ)だとか形容されるのが80年代です。

確かに、「なんだこれは」というのもあれば、今見ても新しいと思えるような斬新さや新鮮さ、格好良さをもった音楽はこの時代に沢山生まれたと思います。音楽業界も好景気でお金も沢山あったのでしょうか。なんといってもバブルですから。とにかくエネルギッシュで、パワフル。ハチャメチャで自由で大らかだった時代で、みんな良いも悪いも個性が際立っていると思います。こういったエネルギーが日本の「オタク文化」の土壌を養っていったのではないかと思います。

つまりこの時代、経済的に豊かになったことで、戦後の悲しみや苦しみを引きずるのをやめたのです。山口百恵さんやキャンデイーズのような、どこか重々しい感じが80年代のアイドル歌謡からは感じません。経済的に豊かになったことで、人々は嗜好性に富んだ趣味を極めることが可能になりました。自分が好きなものに、それぞれ個人が枝分かれを始めた時代ともいえます。

明るい曲も全体的に多かった時代ではなかったかと思います。

80年代「なんだこれは」その1

80年代「なんだこれは」その2

80年代「なんだこれは」その3

80年代リバイバルは音楽でも、ファッションでも巻き起こっています。最近の大学生の服装なんかをみてもそんな印象を受けます。(上の動画は参考にしないでくださいね笑)新しいものを作り出すのではなく、古いものを再び見直して再利用するほうが効率的ですし、その年代が青春時代だった人にとっては懐かしを感じます。経済効果も狙えるという訳です。

それもさることながら、バブル真っ只中の破竹の経済成長を続けていた夢のような時代「80年代」に、少しでもあやかりたいという「願い」や「祈り」もあったりするのではないかと思います。

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