音楽無しの生活は考えられない② 音楽を演奏する

雅楽しかできませんけど

前回に続いて今回も音楽関係の記事です。世の中には数多くの音楽があります。私的には分け隔てなく世界の音楽に親んできましたが、聴く割合で言えば英米のロックミュージックがほとんどです。

しかし、私が唯一演奏できる音楽のジャンルは雅楽で篳篥(ひちりき)という楽器だけです。

神社のお祭りでは祭典楽として雅楽が用いられます。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないかと思います。お正月の神社や、神前結婚式なんかでは必ず流れます。

雅楽と聞いてピンと来ない人もいるかもしれません。東儀秀樹さんはご存知の方も多いのではないでしょうか。あの方は雅楽で使われる篳篥(ヒチリキ)という楽器の奏者で、雅楽のエッセンスを現代の音楽に取り入れて創作をされています。

雅楽とは?

雅楽とは今からおよそ1400年ほど昔に、朝鮮半島や中国大陸からもたらされた音楽で、701年に大宝律令が完成し、その中の官省に日本で初めての本格的音楽機関である「雅楽寮(うたまいのつかさ)」が置かれます。また、こような公的な機関ではなく、経済力のある寺院では多くの楽人を置いて法要の際に演奏させていました。平安時代には貴族の嗜みとして舞を伴わない合奏のみを楽しむ「管弦」というスタイルも確立し、楽器編成や音楽理論が確立されて以来ずっとほぼ現在の形を受け継いできた「世界最古のオーケストラ」です。

朝鮮半島や中国大陸から伝わってきたのに何で世界最古なのかといいますと、長い年月をかけて形を変えたり、途絶えたりしてそこにはもう雅楽と呼べるものは残っていません。日本も戦国時代の混乱で伝承の危機に陥りましたがなんとか現在に伝わっています。

オーケストラと呼ばれる理由は、菅楽器、弦楽器、打楽器が揃って演奏されるからです。ちなみに神社の祭典では菅楽器でのみ演奏されることが多いです。

現在は宮内庁の中に式部職楽部が置かれて雅楽(重要無形文化財、ユネスコの無形文化遺産)が継承されています。東儀秀樹さんもここで楽師をされていました。

宮中や社寺で悠久の歴史で受け継がれてきた雅楽ですが、一般の人がその習得が許されるようになったのは明治からです。それまでは秘技として一般人が雅楽を習うことは禁止されていました。

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30歳で楽器を習い
人前で演奏することに

神主が全員雅楽を演奏できるわけではありません。私が奉職する神社の場合、雅楽は必須ということになっています。雅楽ができなければダメなのです。

神社の家「社家」ではない、一般の家庭出身者である私が神社に神職として奉職するのは難しいものがありました。大抵、そういった人は何かしらの特技を身につけるべきなのです。それが雅楽であったり、あるいは書道であったり、和歌や国学の知識、装束や調度品に関する有職故実の知識等々。

しかし私に関しては何か特化した技術を習得する訳でもなく、特に雅楽なんかは興味も全くありませんでした。小さい頃から音楽を聴くことは好きでしたが、楽器は苦手で音楽の授業のリコーダー演奏ははずっと苦痛で、小・中学生はずっと吹くフリをして凌いできました。なので、他のものなら何でもするけど、雅楽だけはやりたくないと思っていました。できれば雅楽をやらなくて済む神社に入りたかったのです。

そんな状態で、30歳にして、一から楽器を習うことになりました。

普段聴いている音楽に比べて、雅楽はゆっくりすぎるテンポ。メトロノームが使えない不思議な拍子と、明らかにだんだん曲のテンポが速くなっていく。それに初めはどの曲を聴いても同じ曲のように聞こえるといったことに戸惑いました。

馴染むまでにかなりの時間を要しましたが、神社で一人前の神主になるためにと必死に稽古に打ち込みました。なんせ楽器に馴染みがないので大変苦労しました。小・中学校の時にリコーダーをきちんとやっておけば幾分マシだったのだろうかと思いました。

よく、中学生になると勉強することが果たして本当に将来役に立つのかと疑問を抱きますが、経験して役に立たないことなど何もないと今は昔は思います。

努力の甲斐あって、今では色んな神社の祭典のほかにも市民イベント等や、親族の結婚披露宴なんかでも演奏することがあります。その時は何百人もの人の前で演奏する訳ですが、もう一切緊張することはありません。いい演奏をして神様や人様に捧げたいという思いで演奏に臨むと、失敗を恐れることよりも、いかにいい演奏をするかに集中することができます。もともと私は緊張に弱い、あがり症だったのに実に不思議なことです。30歳を過ぎて大勢の人の前で演奏することが仕事になるとは思いもしないことでした。

最後に雅楽をお届けしますので聴いてください。この演奏はだんだんみんなが演奏を止めていくという特別な構成となっております。最後まで吹いている楽器が篳篥(ヒチリキ)です。こんなに上手くなりたいものです。

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