日本人の労働観 日本人にとって「働く」ということは何なのか?

前回、前々回に続いて、今回も〈日本人と労働〉についての記事です。このテーマはけっこう書くことがありますので、しばらく関連記事が続きます。

日本人は働き者?

人は誰しも生活していくために「お金」を必要とし、そのために世の中では多くの人たちが働いています。

日本人は世界的にみても働き者といわれてはいますが、実際のところはどうなのでしょうか。

年間の平均労働時間を国別にランキング付けすると、経済協力開発機構(OECD)に2012年時点で加盟している35か国の中で日本は15位と、意外にも上位ではありません。

ちなみにトップ10は以下の通り

 

■世界で最も平均労働時間が長い国トップ10

1位:メキシコ(1年間で平均2,226時間)

2位:韓国(1年間で平均2,090時間)

3位:ギリシャ(1年間で平均2,034時間)

4位:チリ(1年間で平均2,029時間)

5位:ロシア(1年間で平均1,982時間)

6位:ポーランド(1年間で平均1,929時間)

7位:イスラエル(1年間で平均1,910時間)

8位:エストニア(1年間で平均1,889時間)

9位:ハンガリー(1年間で平均1,888時間)

10位:トルコ(1年間で平均1,855時間)

suzie-news.jp より

フルタイムで働く日本人は、1年間の平均労働時間が平均1,746時間だそうです。

とはいえ、長時間過重労働を強いて若者を使い潰すといわれる、いわゆる〈ブラック企業〉が日本では何年も前から問題になっていたりします。平均労働時間なんて表向きに過ぎません。労働基準法があるので本当のことは表になんて出せません。

徹夜が何日も続いたり、経費は自腹で出さなければならなかったり、残業代を払わなかったり、パワハラやセクハラなどのいじめがあったり。ブラック企業をはっきりと定義するのは難しいようですが、働きすぎで精神に障害をきたしたり、体調を壊したり、最悪の場合過労死に至ったりと、その問題は深刻です。最近も某大手広告代理店の新入社員が過労が原因で自殺したことが問題となりました。

 

日本がかつて高度経済成長期にあった1960年〜70年代頃は〈企業戦士〉〈猛烈社員〉といって、長時間労働を奨励、賞賛する風潮がありました。思えば昔は、週休二日ではありませんでしたし、数字でいくと昔の人のほうがうんと働いていたのです。事実、1980年に日本人の平均年間労働時間は2104時間でしたが前述の通り今は1,746時間と確実に減っています。

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www.ntt-card.com より

ちなみに1日の平均労働時間は⒐1時間です。

労働時間は確かに全体的に減ってはいますが、一部のブラック企業のような極端に労働時間の長い職場も存在します。職種によっては人手不足により長時間労働を免れない場合もあるとは思います。

労働時間が減ったと同時に、今は昔に比べ給与所得が減り、終身雇用といった一生の保証も無くなったわけでして、その点で労働者は働きがいを失くし、モチベーションは下がっているように思えます。不景気による経済の停滞が、多くの企業の経営不振に直結。先行きの見えない不安、不満、怒りといったストレスとなり、厳しい労働環境を作り出しているのではないでしょうか。

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労働時間の少ない国

その一方で、世界的に不況といわれていますが、労働時間の少ない国もあります。

■世界で最も平均労働時間が短い国トップ10

1位:オランダ(1年間で平均1,381時間)

2位:ドイツ(1年間で平均1,397時間)

3位:ノルウェイ(1年間で平均1,420時間)

4位:フランス(1年間で平均1,479時間)

5位:デンマーク(1年間で平均1,526時間)

6位:アイルランド(1年間で平均1,529時間)

7位:ベルギー(1年間で平均1,574時間)

8位:ルクセンブルク(1年間で平均1,609時間)

9位:スウェーデン(1年間で平均1,621時間)

10位:スロベニア(1年間で平均1,640時間)

こうしてみますと北欧や西欧は労働時間が少ないようです。

ヨーロッパでは夏にバカンスという2週間ほど長期休暇をとる習慣があります。イタリアではサッカーが始まると皆んなそれを観るので、その間誰も働かないといいますし、お昼休みに家に帰り食事するといいます。日本と比べると随分のんびりしているといいますか、家族や友人と過ごす時間を大切にし、せかせかしてない余裕のある暮らしであると思います。

ヨーロッパの人はバカンスのために1年間頑張って働くといった感覚なようです。

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日本人と西欧人の労働観の違い

ユダヤ・キリスト教の聖典である旧約聖書に、楽園で果実を食べ、遊んで暮らしていたアダムとイブが〈善悪を知る木の実〉を食べてしまったがために、男に〈労働〉、女に〈産みの苦しみ〉という〈〉を与えたとあります。

これでいけば、西欧人にとって労働とは神の罰となります。

一方、日本の場合では古事記・日本書紀の神話において、皇室の祖先神である天照大御神は自ら農業を営まれ、機織りをする機屋を運営されるなど、最高神自ら率先して〈労働〉に携わっておられます。

天孫降臨の際には高天原の〈斎庭の稲穂〉を天孫瓊瓊杵命にお授けになり、「日本は私(天照大御神)の子孫が王となって治める地である。吾が子孫よ治めにお行き。元気にいってらっしゃい。皇統が栄えゆくことは、天地と共に永遠で窮(きわ)まりないでしょう」と仰せられ、永遠の繁栄を祝福されました。

よって日本人にとって労働するということは神の祝福であり、神事そのものともいえる尊い営みなのです。

ちなみに天皇陛下は御自ら宮中で稲をお育てになり、皇后陛下は養蚕からはじめ、機織ものをされます。このようにして天皇陛下は、天照大御神様の大御心を、今のこの時代に御継承あそばされています。

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日本人にとって労働は娯楽?

日本人は労働を娯楽として捉える特殊な感覚というか文化があります。

りんご狩り・なし狩り・ブドウ狩り・みかん狩り・いちご狩りと収穫、すなわち労働を娯楽にして楽しみます。最近では〈週末農業〉といって、農園を借りて週末にレジャー感覚で家族、友人と農業を楽しんだりする人もいるようです。

前回記事 今日は新嘗祭というお祭りの日ですの通り、日本人にとって最も大切なお祭りは、収穫をお祝いし感謝するものです。

岩手県滝沢市と盛岡市の「チャグチャグ馬コ(ちゃぐちゃぐうまっこ)」は、馬に華やかな馬具を纏わせて進行するお祭りとして有名ですが、農耕にかかせない家畜であった馬の勤労に対して感謝する祭りとして始められたといいます。

このお祭りを見ると、日本人の労働は神事であり、楽しい遊びでもあることがありありと感じられます。

 

 

魯山人先生の言葉

最後に、魯山人先生の言葉をご紹介します。

 

私は世間のみなが働き過ぎると思う一人である。

私は世の中の人がもっと遊ばないかと思っている。

画でも、字でも、稚事でも遊んで良いことまで、世間は働いている。

なんでもよいから自分の仕事に遊ぶ人が出て来ないものかと私は待望している。

仕事に働く人は不幸だ。

仕事を役目のように丁えて他のことの遊びによって自己の慰めと為す人は幸せとは言えない。

政治でも実業でも遊ぶ心があって余裕があると思うのである。

誰もが生きるために必死に働いています。世知辛い世の中ですが、よりよく、より楽に生きて行くための工夫を、先人の残した言葉や文化 から学べるのではないでしょうか。

 

 

 


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