ビブリオ 学校では教えてくれないという 本当のアメリカの歴史を学ぶ② 徹底した人種差別と隔絶した経済格差、軍事介入に積極的な国 アメリカ

前回に引き続き、今回もアメリカの歴史をざっと検証しようと思います。前回はアメリカ建国の前段階、ヨーロッパ人のアメリカ大陸への入植がいかにして行われたかについて述べました。今回も参考書として『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史㊤』(ハワード・ジン著/あすなろ書房)という本を使用します。

アフリカからむりやり
連れてこられた黒人奴隷

北米へ進出したイギリス人たちは、屈強でかつ知性的であり、誇り高いインディアンたちを奴隷として利用することを諦め、駆逐して追い払うことに決めました。そこで問題となるのが労働力でした。トウモロコシや、タバコの栽培(インディアンに教わった)は重労働で大変な仕事でした。そこで目をつけたのが黒人奴隷でした。

かつて、産物が乏しいヨーロッパが他国へ輸出できるものは奴隷でした。ヴェネチア商人はヨーロッパ各地から生きた商品である奴隷をさらってきて売りさばいたようです。はじめは売って儲けましたが、しだいにヨーロッパ人は、自ら奴隷を利用するようにもなります。

コロンブス以前よりヨーロッパでは、アフリカから黒人を連れてきて奴隷にすることが行われていました。ヨーロッパ人のアメリカ大陸への入植後は、中南米のポルトガル・スペインが支配する地域では鉱山やサトウキビ農場で働かせるため、1619年までに100万人もの黒人をアフリカから連れてきていました。

著者であるハワード・ジンは、アメリカの奴隷制は二つの点で歴史上もっとも残酷な制度だったと語ります。まず、果てしなく金を儲けたいという果てしない欲望によって行われたこと。そしてその根本には、白人至上主義に基づく強い人種的偏見があったことがあったといいます。

白人は黒人を同等に扱いませんでした。アフリカで捕らえられた黒人たちは鎖で繋がれて、長い時には1600キロもの距離を海岸まで歩かされました。この〈死の行進〉によって40パーセントの黒人が命を落としたといいます。さらに、奴隷船に乗せられると狭くて暗い船倉に鎖で繋いで押し込められます。窒息する者もいました。その苦しさのあまり海に身を投げる者もいたといいます。こうして航海中にその3分の1は死亡したといいます。奴隷貿易は大変儲かったので、奴隷商人たちは黒人を大量に船に詰め込み、次々とアメリカ大陸に送り込みました。

こうして連れてこられた黒人奴隷たちはプランテーションで過酷な労働を強いられます。あまりの辛さに逃亡する者もいましたが、逃亡には厳しい処罰が与えられます。多くが生きたまま火で焼かれたり、手足を切られて死刑に処せられました。

バージニアでは黒人の人口の割合が約半数近くまで増えます。やがて黒人が農園主に対し、反乱を企てるようになります。反乱やその未遂に終わったものも含めると約250件あったそうです。その中には黒人の反乱に加担する白人もいたようです。貧困からヨーロッパを追われ、アメリカへ渡ってきた白人たちです。白人奉公人も黒人と共に酷い扱いを受けていました。

植民地の統治者たちはこのふたつが手を結んで反乱を起こし、社会をひっくり返すのではないかと懸念し、貧しい白人に新しい権利や恩恵を与えて白人と黒人が同等の立場で手を結ぶことを防ぎます。これが人種差別をさらに深める原因となったと思われます。

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ひと握りの金持ちのための社会

18世紀に入り、アメリカの産業は急速に発展しますが、富める者と貧なる者が隔絶した格差社会でした。人口の1パーセントの上流階級、商人たちが全体の富の44パーセントを独占していました。富める者が豪邸に暮らし、馬車に乗り貴族のような暮らしをする一方、1730年代になると、「街を徘徊するホームレスをどこかへ収容せねば」という声が高まるなど、食べ物に困り極寒のなかで凍死しないように精一杯生きる、きわめて多数の貧者がいたようです。このような激しい格差から、貧しい農民と裕福な農園主、商人、植民地総督府との間で多くの衝突が起こります。

このように富裕層と貧困層が形成されるなか、白人の中産階級も成長していきます。小規模な農園主、自営農民、都市に暮らす職人といった集団でした。富裕層にとって貧しい白人、黒人奴隷、インディアンが結束しては厄介となりますから、アメリカの支配階級はこの中産階級を味方につけることにします。支配階級は〈自由と平等〉という便利な言葉の発明でイギリスに対する独立戦争を行い、その団結を図ります。

アメリカ独立戦争

アメリカ大陸の支配階級は自分たちは、自分たちの既得権益を守るべく、社会に不満を持つ者たちのエネルギーを、税金を徴収し、搾取しているイギリスへ向けようとします。1773年にはボストン茶会事件が起こるなど、その効果はしだいに現れてきます。

1775年アメリカ独立戦争が始まります。トマス・ジェファーソンが『独立宣言』を起草します。以下がその内容の冒頭部分です。

「我らは次のことが自明の真理であると見なす。すべての人間は平等につくられている。創造主(神)によって、生存、自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられていること。これらの権利を確保する為に、人は政府という機関をつくり、その正当な権力は被支配者の同意に基づいていなければならないこと。もし、どんな形であれ政府がこれらの目的を破壊するものとなった時には、それを改め、または廃止し、新たな政府を設立し、人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方で、新しい政府を設けることは人民の権利である。」

平等、自由、幸福の追求などの基本的人権を主張した上で、アメリカが独立を選択した原因であるイギリスの圧政について告発しています。この宣言に署名した者の3分の2以上はイギリス統治下の植民地政府の役人たちでした。その宣言の対象はインディアン、黒人奴隷、女性は含まれていませんでした。富裕層はお金を払って代理を立て、徴兵から免れました。貧しい者は入隊せざるを得ませんでした。

1781年にアメリカは独立戦争に勝利しますが、結果的にこの戦争が何をもたらしたのかといいますと、イギリスに忠誠心を抱く〈国王派〉勢力の土地、財産を独立革命の指導者を始めとする富裕層で分け合っただけで、大多数の貧しい白人や小作人にはほとんどなんの利益ももたらしませんでした。1788年には、アメリカ合衆国憲法が発効されますが、富裕層の利益のための法律を作り出す枠組みとして作成されました。政府は一般国民の利益のために奉仕するというのはまさに幻想であり、貧富の差はますます広がり、ピラミッドの頂点にいる者のみを保護するというのが現実でした。

現在でもその形式は基本的に変わっていません。それどころかますますアメリカ社会の格差は広がっています。

上位1%が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多い。

アメリカではトップ1%グループが中央値の288倍の富を持つ

上位1パーセントが持つ資産が、中央値(総データのうち、中央に来るデータ)の何倍かを示すグラフ。1962年では上位1パーセントの資産は中央値の125倍だったものが、2010年では288倍になっている。(socius101.com「アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ」より)


飽くなき欲望と領土・利権の拡大

アメリカ独立戦争においてインディアンの多くの部族はイギリス側について戦いましたが、戦争後インディアンたちは白人たちに土地を追われ、西へ逃れていきます。1845年にはメキシコから独立していたテキサスをアメリカ合衆国へ併合します。

テキサス併合直後の夏、新聞記者ジョン・オサリバンは次のように記したといいます。

「年々増加する何百万ものわが国民の自由な発展のために、われわれには、この大陸をおおって拡大していくという、明白なる天命が、神から割り当てられているのだ。」(p.117より引用)

さらにメキシコの領土を欲したアメリカは、1846年に軍備を整えます。宣戦布告の口実さえあればいつでも戦争を始められるようにしたところで、国境近くでメキシコ兵に奇襲され交戦状態に入ります。アメリカ軍のイーサン・アレン・ヒッチコック大佐は次のように日記に記しています。

「わたしは当初から、侵略しているのはアメリカ合衆国だといってきた。われわれには、この土地にいる権利はひとかけらもないのだ。わが政府は、カリフォルニアをはじめとするあの国の土地を、好きなだけ奪う口実をつくろうと、わざと小規模な部隊を送って、戦争を引き起こしたように思われる。本音をいえば、こんなことにかかわりたくない。だが軍人として、わたしは命令を遂行する義務がある。」(p.119より引用)

アメリカはこの戦争に勝利してその国土を、太平洋にまで広げます。アメリカは1796年から1895年までの約100年間で103回も軍隊を他国へ派遣し内政に干渉していきます。1853年には軍艦で脅してむりやり日本を開国させました。1898年にはキューバにてアメリカ・スペイン戦争が勃発しアメリカが勝利。その後もアメリカはキューバに留まり、アメリカ資本によって鉄道、鉱山、サトウキビ農園が乗っ取られます。アメリカはキューバこそ併合しませんでしたが、スペイン領だったプエルトリコ、ウェーク島、グアム島、そしてアジアのフィリピンまで手に入れました。

フィリピンの併合について当時のマッキンリー大統領は、次のような神の啓示を受けたといいます。

「フィリピン諸島のすべてを併合し、フィリピンの人々を教育して知的に向上させ、文明化させてキリスト教に改心させるしか、われわれには道はないのだ‥‥。そう確信するとわたしはベットへもどり、すこやかな眠りについたのです。」(p.180より引用)

先月の記事 神の庇護のもとにある唯一の国 知られざる「神の国」アメリカ その神とは? バッドレリジョン「American jesus」 にてアメリカの神とは何か述べました。アメリカの神を手にした人々は、バッドレリジョンが歌うように「毎日何百万人を圧倒し続ける」のでした。


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