親や親戚が神主じゃない それでも神主になりたい人へ①

私の父は大工でした

世の中に多くのお仕事がある中で神主を選びました。親が神主だから、神社を継がなければいけないからという理由でなる人が最も多いとは思いますが、中には私のように神社と直接関係のない家に生まれたにも関わらず、神主になる人がいます。

そういう人が神主になりたいと思った場合、何から始めたらいいのか分からないと思います。私もそうでした。神社の神主さんや巫女さんの知り合いは一人もいませんでしたし、神社に行ってどうやったら神主になれますか?と聞く勇気もありませんでした。それは、私が神主になろうと思った時はすでに25歳ぐらいで結婚もしていたからです。

「なんか無理っぽいなあ」

なので、とにかくインターネットで検索して調べまくりました。

そんな経験から、神主になりたいけど、どうすればいいのか分からないという、全ての人のために役立つ記事を、今回書こうと思います。

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〈神主〉ではなく正式には〈神職〉といいます

神社で「神主さん」とか、「神官さん」と呼ばれることがありますが、正式には神職といいます。

たまに、「宮司さん」と呼ばれることがありますが、私は宮司ではありません。宮司とは役職であり、その神社のトップの役職です。会社でいうなら社長とかオーナーのような存在です。大きな神社には宮司の下に権宮司(ごんぐうじ)または、禰宜(ねぎ)というナンバー2がいます。

その下が権禰宜(ごんねぎ)という役職があります。一般的にはこの権禰宜が一人前の神職とみなされます。権宮司や禰宜は少ないものの、権禰宜は沢山います。その下に見習いとして大きな神社では宮掌(くじょう)や主典(しゅてん)といった役職がありますが、一般的な神社では見習いの神職を出仕(しゅっし)と呼びます。

多くの場合は出仕として神社に入り、早ければ数ヶ月、多くは1年〜1年半、長いところで3年、とっても長いところ(伊勢神宮)で10年の間、この見習い期間があります。これは神社によって様々です。多くの神社では出仕を経て、権禰宜になります。

大きな神社では  出仕→宮掌or主典→権禰宜と昇格します。

神社は労働でなく奉仕

神社に神職として勤めることになったとします。しかしこれを就職とは言いません。奉職といいます。公務員の場合もそうですね。神職も旧社格といって戦前までの神社のランクで官幣社・国幣社の神社ならば、戦前は公務員でした。なので、その場合のみ「神官さん」と呼ばれていたのかもしれません。

しかし現在、神社は宗教法人ですので、法律上神職は法人の職員となります。つまり法律上は労働者です。ではなぜ奉職と呼ぶのか。神社とは公のために祈りを捧げる所であり、神職は日々皇室・国家の安泰、そして繁栄と平和を祈り祭祀に勤しんでいるからです。

「働く」のではなく、「神様にお仕えさせて戴く」という奉仕ですから、そういった意味でも奉職というのでしょう。

神職になる方法

神職になる方法は沢山あります。一番手っ取り早い方法は、國學院大學か皇学館大学に四年制で入学し、神職過程を取ることです。これならば神社に何のツテもなく、大学から神社への奉職を斡旋してもらえます。

神社によっては実家が神社でなければ奉職できないというところもありますが、求人倍率でいえばかなり恵まれているといえます。需要に対して供給が追いついていないというのが神社界の現状です。担い手が不足しているからこそ、実家が神社でない非社家出身の人材が必要なのです。

神社界は久しく、後継者問題が深刻となっています。多くの人がお参りに来る観光地のような神社ばかりならば問題にはなりませんが、神社は全国におよそ80,000社あります。それに対して神職の数は全国で20,000人ほど。そのうち宮司が10,000人ほどといいますから、単純に割り算でいくと宮司1人で8社の神社の宮司をせねばなりません。

神職が常にいる神社は20,000社ほどです。観光地のような神社は全国的に見てごく一部ですから、他の神社はお賽銭、祈願料、地鎮祭などの外祭の奉仕料で運営してゆく他ありません。当然地方で人口が少ない地域ですと、経済的に厳しいものがあります。神社の収入だけでは生活できない神職が多くいます。

私は大学に入って初めて、神社界の人達と知り合いました。それまでそんなことは考えもしませんでしたが、実家が神社で、親が宮司だけど普段は公務員をしているとか、サラリーマンをしているという人が多くいました。そういう人達は、実家は神職だけでは生活できない。しかし、神社を継ぐために大学に入ったということです。彼らは大学卒業後に地元の町役場や自衛隊へUターン就職し、父親同じく、おもに休日に神社で奉仕するという生活を送っています。本当に偉いと思います。

神社の収入だけでなんとか生活できる神社もあります。しかし、息子に給料をやるほどの余裕はない。こういった場合は、息子を一旦大きな神社へ奉職させます。息子は、親が宮司を退任する頃に戻って来るという算段です。

もちろん近くに大きな神社があれば、普段はそこに奉職し、お祭りの日などに実家の神社で奉仕する場合もあります。大きな神社にはこのようにいつかは実家の神社へ帰る前提の神職が多くいます。雇用する神社のほうもこれならば安心。一生の面倒をみる必要はありません。

息子よ、娘よ、すぐに帰っておいでという神社もあります。神社だけでは収入が厳しいのは当然ですから、神社は収益事業を行っても良いことになっています。保育園や幼稚園を運営したり、霊園墓地を運営したり、駐車場を運営したりするところが多く見受けられます。神社の仕事の他に、このような事業を行っていると、猫の手も借りたいほど忙しく、こうなると当然。休日はほとんどありません。

こういった事業を行っていない神社では、安定した収入を得られないところもあります。夜にコンビニでアルバイトをしている神職もいます。

四年制大学を卒業していれば
専攻科に入れる

社会人で神職になりたいと思っている人で、四年制大学に入ることは難しいことだと思います。私は夜間クラスでしたが、そこには公務員や会社員、お医者さんや主婦といった様々な社会人の方が四年制で学ばれていました。みんな私と一緒に神職の資格を取りました。他には社会人で大学3年生に編入という人もいました。2年間大学で学び神職の資格が取れます。

しかし、文系でも理系でも、どんな学部・学科でも、四年制の大学を卒業していれば専攻科というところへ入れます。そこでは、みっちりと1年間学んで神職の資格を得ることができます。國學院大學は神社と神社庁の推薦状が必要となりますが、皇学館大学ならば必要ありません。(現在はどうかわかりませんので電話でもして確認してみて下さい。)

神社庁とは、全国各都道府県にある神社本庁の地方機関です。神社本庁とは全国の神社を包括する包括宗教団体で、神社は被包括宗教団体となります。このへんの話は学校で習って下さい。まあとにかく、どこかの神社の宮司さんのコネがなければ國學院大學の専攻科には入れません。

神職養成機関または
大学の別科で2年間学んで資格を得る

東北地方から中国地方にかけて、全国にいくつか神職養成機関があり、2年間の寮生活で勉強して神職の資格を得ることができます。寮生活ということもあり、結構厳しいらしいです。何しろ養成機関ですから。

多くは、大きな神社の中にあります。日曜日や繁忙日には神社の社頭で奉仕しながら学校で学びます。これも入学には神社と神社庁の推薦状が必要となります。とにかく、どこかに神社の宮司さんの推薦状が必要となります。

または、國學院大學には別科といって2年間で資格を取るコースがあります。こういった養成機関や大學の別科は、いづれも高等学校を卒業しておく必要があります。

講習会を受講し
1ヶ月で資格を得る

これにも受講には、神社の宮司さんの推薦状が必要となります。講習会で資格を得て神職になる人はけっこういます。お父さんが宮司さんで、いづれは息子や親戚に継がせたいと思っているところは、大学の夏休みなんかを利用して、とりあえず資格を取らせておく場合があります。

なんと、講習会を受講し1ヶ月で神職の資格を得ることができます。

取得できるのは直階(ちょっかい)という階位です。宮司代務者という役職で神社をとりあえず運営することができます。(他の神社の宮司さんに代務者をお願いすることもあります。)その後、ある程度の年数を経て、神社庁の指定する大な神社で30日間研修を終了すると、権正階(ごんせいかい)という階位を取得すれば、宮司になることができます。但し、別表神社と呼ばれる大きな規模の神社の宮司になるには明階という階位が必要となります。

つづく


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