ネガティブ化する宗教・家族・性愛 映画『愛のむきだし』から貰った希望

▲愛のむきだし[Blu-ray]

皆様お久しぶりです。まずはじめに、前回から更新にかなり時間を要しましたこと心よりお詫び申し上げます。

その理由は、公私ともに多忙が続きまして、ブログ記事を書いている余裕がございませんでした。本当に結構夜中まで働いていたり、休みの日も予定で埋まっていました。

「忙しい」とは心に亡と書きます。

私は心を亡くしてしまっておりました。

仕事も家庭もすごくネガティブ方面へと向かって行ってたと思います。

前回記事 人はなぜディストピアを創り出すことをやめられないのか? 小説『1Q84』を読んでから考えてみる において、下記のように記しました。

どのような団体でもカルト化する可能性があるといいます。共同体、学生グループ、宗教といった出発点から上記3つの団体は(注 ヤマギシ会 連合赤軍 オウム真理教)カルトになってしまいました。

これはネガティブ化した結果といいます。恋愛がネガティブ化すればドメスティックバイオレンスを引き起こし、自分探しがネガティブ化すると、自己啓発セミナーのようなものを生み出します。

つまり、どんな組織だろうと、タイトルに挙げた宗教、家族、性愛といったこともネガティブに向かえばカルト化して人々を傷つける危険なものへと変容してしまいます。そのことを強く認識させてくれた映画が標題に掲げました『愛のむきだし』という映画です。

本当はゴールデンウィーク前に投稿して、連休中のオススメ映画として(?)紹介するつもりだったのですが、遅れに遅れこの有様。しかし私はネガティブ化から逃れ、カルト化することもなく、このブログに戻ってきました。どうぞお許しを。

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映画『愛のむきだし』について

この映画は園子温監督の作品で2009年に発表されました。村上春樹氏の『1Q84』が発表された年と同じであり、”ネガティブ化する宗教・家族・性愛”という点で共通する部分があると思います。

両作品とも発表から数年経って鑑賞しましたが、当時は宗教のカルト化についてにとても関心を持っていましたから、「リアルタイムで見たかったなあ」と思う作品です。

この映画は園子監督の最高傑作の呼び声も高く、Wikipediaによれば、「20年ほど前に監督が知り合った「盗撮のプロ」の実話を基に製作され、自身の体験や取材を組み込んだ3時間57分に及ぶ純粋かつ壮絶な恋愛叙事詩」という内容です。盗撮、パンチラ、レズ、勃起、性的虐待、血まみれシーンが多く含まれていますので、R-15指定です。

この映画が好きと言ったら知人に引かれた」とか、「観ていて気分が悪くなった」ということがネットで見受けられました。まあ、過激な映像が苦手な方は注意してご覧になって下さい。間違っても彼氏や彼女とは観ない方がいい気がします。

最近、テレビドラマとしてノーカット版が放送されたと知りびっくりしましたが、有線放送だったようです。この映画は地上波ではまずお目にかかることのない作品だと思います。Blu-rayが出ているようですが、私は〇UTAYAさんで借りて観ました。

人間がネガティブ化すると?

注意‼️ 以下はネタバレを含みますのでご注意下さい。

本田悠(通称:ユウ)と尾沢洋子(通称:ヨーコ)という人物がこの映画の主人公なのですが、この二人にコイケという女性が加わってから、物語が破滅に向かって疾走していきます。

ユウは熱心なクリスチャンの家に生まれますが、幼い時に母を亡くします。母はユウくんに「いつかマリア様のような人を見つけなさい。」と言い遺してこの世を去り、時は流れて高校生になった頃から物語はスタートします。ユウ君父親は信仰の道をきわめるべく教会の神父となっていました。

しかし、ある日もう一人の主人公ヨーコの母親であるカオリが、ユウ君親子の前に現れたことによって、ユウ君の苦難が始まります。ヨーコの母は(実の母親ではなく再婚相手の連れ子で、当時はまだ親子ではない)ユウ君の父親に出会ってからぞっこんとなり、ユウ君の父は最初は拒否していたものの、カオリの狂気ともいえる求愛に押されて、神父の身でありながら男女の関係をもってしまい、二人とユウ君は教会を離れて家を借りて生活を始めます。

しかし、それも僅かな期間で終わりをむかえます。カオリは若い男性と一緒にすぐに家を出て行ってしまいました。ユウ君の父はカオリとの間で犯してしまった罪に対する罪悪感でおかしくなってしまいます。そしてある日、ユウ君の父はユウ君に対して毎日懺悔室で懺悔を強要するようになります。「今日の罪は?」と毎日問い詰められるわけですが、純粋で善良な少年であるユウ君には罪に感じている出来事など一つもありません。なので、自ら罪を作っていかねばならない状況に追い詰められます。

ユウ君は不良グループの仲間に入り、窃盗や喧嘩といった悪事をし、せっせと罪づくりに勤しむのですが、いまいち神父である父を納得させるような罪を作ることができません。そこで不良仲間に相談してみたところ「そりゃあ神父がもっとも嫌うことはエロだろ」ということで、盗撮の大家に弟子入りをして、仲間たちとともに女性のスカートの中を盗撮するべく日々鍛錬と活動に身を捧げていくことになります。

女性のスカートの中を盗撮したことを父に懺悔したとき、はじめて父は激しく怒り、ユウ君を殴りつけます。今までほぼ無反応だった父に殴られたユウ君は、そのことがうれしくてたまりません。構ってもらえることに対して愛情を感じたのでしょう。

しかし、ユウ君の盗撮の目的は何も罪づくりの為だけではありませんでした。「いつかマリア様のような人を見つけなさい。」という母親の遺言のとおり、運命の女性を見つけ出したいという願いもありました。そして出会った(盗撮して見つけたわけではありませんが)運命の女性こそヨーコなのでした。

ヨーコの父親は浮気性で、数カ月単位で母親が変わるという境遇で育ち、幸せな家庭や男性の性欲に対して強い嫌悪感を抱いていました。父親に襲われた経験もあり、男性そのものが恨みの対象となって、道行く不良に喧嘩を売って倒しまくる少女に育ちました。しかし、例外としてイエス・キリストとカート・コバーンは敬愛しているようです。

ユウとヨーコの出会いは奇跡的で運命的な出来事だったのですが、これはコイケという女性と、彼女の所属するゼロ教会という振興宗教団体の巧妙なかつ周到な策略をもって仕組まれたものでした。コイケはユウ君の父親の教会の信者を取り込んでゼロ教会に入信させようと企んでいました。

コイケという女性もヨーコと同様に、男性にひどい目に合わされて育ちました。熱心なクリスチャンだった父親から幼い頃より性的虐待を受けて育ち、「いやらしい体であることを神に謝れ」とぶたれたりと、あまりにも惨い環境で育ちました。高校生の時に好きになった男の子とイチャついていた時性行為は罪という意識から、自傷行為を行ったあとその男の子もカッターナイフで刺してしまいます。その後少年院を出たあと、意識不明状態になっていた父親の生殖器をへし折って報復を果たし、街を歩いていた時にゼロ教会へと勧誘を受けます。

と、まあこういった感じの映画なのですが、面白いので観てみて下さい。(ですが、自己責任でお願いします)

世の中では、家庭内暴力や児童虐待が大きな問題となっていますが、無くなる兆しはありません。家の外へ出てもいじめや、パワハラ、セクハラ、パワハラの被害は多く存在します。本当に大変な目に遭っている人が多くいらっしゃいます。

最近おこりました目黒区の5歳の女の子に対する父親の虐待は、世の中に大きな衝撃と悲しみを与えました。

あの女の子が書いた手紙の文章をまともに読むと涙が止まらなくなります。

人はなぜ人に対して攻撃するのか。

心が満たされている人は、他人を決して攻撃しません。

自分の心を満たそうとしても、満たしきれないから他人を攻撃してしまう。

でも、ひどく傷ついて、荒み切った心でも、愛をむき出しにすることで救わるんだなと感じさせてくれるのがこの『愛のむきだし』という映画でした。





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